○豊後大野市政治倫理条例

平成18年3月31日

条例第52号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その担い手たる市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)並びに市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努め、いやしくもその地位による影響力を不正に行使して自己の利益等を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(市長等及び議員の責務)

第2条 市長等及び議員は、市政に関する権限及び責務を深く自覚し、市民の信頼に値するより高い倫理観を持って、地方自治の本旨に従い、その使命の達成に努めなければならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、自らも主権者として市政を担い公共の利益を実現する責務を負うものであるとの自覚をもち、自己の利益等を図る目的をもって、市長等又は議員に対し、その地位又は権限による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第4条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 市民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。

(3) (地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第221条第3項に規定する法人及び法第284条第1項に規定する一部事務組合を含む。次号及び第15条第1項において同じ。)が行う工事の請負契約、下請工事、業務委託契約及び一般物品納入契約等(以下「工事等の契約」という。)に関し、特定の者を推薦し、又は紹介する等有利な取り計らいをしないこと。

(4) 市が行う許可又は認可に関し、特定の者のために有利な取り計らいをしないこと。

(5) 市職員の公正な職務執行を妨げ、その権限若しくはその地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。

(6) 市職員(臨時職員を含む。)の採用に関し、特定の者を推薦又は紹介をしないこと。

(7) 市職員の昇格及び人事異動に関して、その地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。

(8) 政治活動に関して企業、団体等から政治的又は道義的な批判を受けるおそれのある寄附を受けないものとし、その後援団体についても同様に措置すること。

2 市長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。

(政治倫理審査会)

第5条 政治倫理に関する必要な事項の調査、審査等を行うため、豊後大野市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会の委員(以下「委員」という。)は、7人以内とし、政治倫理に関し識見を有する者及び法第18条に定める本市に選挙権を有する者(以下「有権者」という。)のうちから、市議会議長(以下「議長」という。)の同意を得て、市長が委嘱する。

3 委員の任期は3年とし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることができる。

5 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、出席委員の3分の2以上の同意があるときは、非公開とすることができる。

6 委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職務を退いた後も、同様とする。

(市民の調査請求権等)

第6条 市民(有権者に限る。以下この条及び第12条第1項において同じ。)及び議員は、市長等及び議員が第4条に掲げる政治倫理基準に違反していると認めるときは、当該市長等又は議員が政治倫理基準に違反していると疑うに足りる事実を証する資料を添えて、市民にあっては有権者の50分の1以上の者の連署、議員にあっては議員定数の10分の1以上の者の連署をもって、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に調査を請求することができる。

2 市長又は議長は、前項の規定による調査の請求(以下「調査請求」という。)があったときは、速やかに審査会に当該審査を求めなければならない。

(審査会の職務等)

第7条 審査会は、前条第2項の規定により審査を求められたときは、調査請求の適否又は政治倫理基準違反の行為の存否について審査する。

2 審査会は、求められた審査を行うため、当該審査の対象となっている市長等及び議員(以下「審査対象者」という。)若しくは関係者に対し、資料請求、事情聴取等必要な調査を行うことができる。

3 審査会は、審査対象者に出席を求め、弁明の機会を与えなければならない。

4 審査会は、第1項の規定による審査について、その審査結果を当該審査を求められた日から起算して90日以内に市長又は議長に報告しなければならない。この場合において、審査会は、必要と認める措置について、理由を付した文書をもって勧告することができる。

5 市長又は議長は、審査会から審査結果の報告を受けたときは、その概要を速やかに公表しなければならない。

(市長等又は議員の協力義務)

第8条 市長等又は議員は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して説明をしなければならない。

2 市長又は議長は、審査会から審査対象者が虚偽の報告をし、又は調査に協力しなかったとの報告を受けたときは、その旨を公表するものとする。

(宣誓書の提出義務)

第9条 市長等及び議員は、法令及びこの条例を遵守する旨の宣誓を行うものとし、別に定める宣誓書を市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

2 市長又は議長は、前項の規定により提出された宣誓書を保管しなければならない。

3 市長又は議長は、第1項の宣誓書を提出しない者があるときは、その氏名を速やかに公表しなければならない。

(職務関連犯罪容疑による逮捕後の説明会)

第10条 市長等又は議員が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4まで及び第198条に定める贈収賄罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による逮捕後、引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求めることができる。この場合において、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、釈明しなければならない。

(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)

第11条 市長等又は議員が、職務関連犯罪による起訴後、引き続きその職務にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求めなければならない。この場合において、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、釈明しなければならない。

(説明会開催請求)

第12条 市民は、前2条の規定による説明会が開催されないときは、有権者50人以上の者の連署をもって、当該説明会の開催を請求することができる。

2 前項の開催請求は、逮捕後の説明会にあっては起訴又は不起訴の処分がなされるまでの間に、起訴後の説明会にあっては起訴された日から50日以内に、市長等に係るものにあっては市長に、議員に係るものにあっては議長に行うものとする。

3 市民は、説明会において当該市長等又は議員に質問することができる。

(職務関連犯罪による第1審有罪判決後の説明会)

第13条 第11条及び前条の規定は、市長等又は議員が職務関連犯罪による第1審判決の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときの説明会の開催等について準用する。この場合において、開催請求の期間は、判決の日から30日を経過した日以後20日以内とする。

(職務関連犯罪による有罪判決確定後の措置)

第14条 市長等又は議員は、職務関連犯罪の有罪判決が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定その他法律の規定により失職する場合を除き、市民全体の代表者としての品位と名誉を守り市政に対する市民の信頼を回復するため、辞職手続をとるものとする。

(市が行う工事等の契約等に関する遵守事項)

第15条 市長等又は議員は、法第92条の2、第142条、第166条第2項及び第180条の5第6項の規定の趣旨を尊重し、市が行う工事等の契約等に関し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。

2 市長等又は議員は、市有財産(物品を含む。以下この項において同じ。)の譲渡に係る契約(法第234条第1項に規定する方法により締結するものをいう。以下この項において同じ。)に関し、法令の規定によりその行為を制限されている場合を除くほか、次に掲げる行為をしないよう努めなければならない。ただし、個別具体的な事案に応じ、やむを得ない特別の事由があると認められる場合は、この限りでない。

(1) 市有財産の譲渡に係る契約に関し、法第234条第1項に規定する一般競争入札、指名競争入札又はせり売り(以下この号において「入札等」という。)が実施される場合において当該入札等に参加すること(法人の代表者として、又は権限の委任による代理人として参加する場合を含む。)

(2) 市有財産の譲渡に係る契約の締結において相手方となること(法人の代表者として、又は権限の委任による代理人として相手方となる場合を含む。)

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(平成19年3月8日条例第2号)

(施行期日)

第1条 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(豊後大野市政治倫理条例の一部改正に伴う経過措置)

第6条 改正法附則第3条第1項の規定により収入役として在職するものとされた者が在職する間における第8条の規定による改正後の豊後大野市政治倫理条例第1条の規定の適用については、同条中「副市長」とあるのは、「副市長、地方自治法の一部を改正する法律(平成18年法律第53号)附則第3条第1項の規定により収入役として在職するものとされた者」とする。

(平成27年9月30日条例第51号)

この条例は、公布の日から施行する。

豊後大野市政治倫理条例

平成18年3月31日 条例第52号

(平成27年9月30日施行)