松本さん夫妻

公開日 2018年12月5日

最終更新日 2018年12月5日

田舎で心の豊かさを体験。古民家の宿「まつもと」へ


こんにちは。

地域おこし協力隊の日淺紗矢香と申します。

 

今回の記事より、「移住者の体験談」を担当することとなりました。

田舎での移住を考えている方へ、移住の先輩方の声をお届けして、少しでもお役に立つことができれば幸いです!

 

さて、記念すべき第1弾目の取材は、2012年に豊後大野市の緒方町へ移住し、古民家で農家民泊をされている松本安雄さん(62)、浩子さん(58)です。

 

東京からご夫婦でこの地へ訪れ、移住をするに至った経緯、そしてどのような暮らし方をされているのか、実際に古民家へお伺いし取材をしてきました。

 

目次

1、宿「まつもと」へ。

2、移住する家を選んだ決め手と、豊かな暮らしとは。

3、ものづくりが心を豊かに。

4、移住して大変だったことと、心がけるべきこと。

5、農家民泊について。

6、さいごに



 

1、宿「まつもと」へ


豊後大野市緒方町の日向街道沿いにある「野尻」バス停の向かいに、山側へ向かう道があります。

その美しい田んぼに挟まれた道を上がっていくと、古風な、しかし何とも素敵な雰囲気の宿が見えてくるのです。

 

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どこか懐かしいような縁側に、「古民家の宿まつもと」と書いてある看板がありました。

 

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木の温もりを感じる温かみのある古民家です。

そして、笑顔で出迎えてくださったオーナーの松本安雄さん。

秋の澄んだ空気と木の香りに包まれていざおじゃま致します!

 

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中へおじゃまし、上を見上げるとびっくり!!

土間の天井は漆黒の柱の見える素敵な吹き抜けになっているではありませんか・・・!

 

さらに、土間にはテーブルと味のあるタンス、レトロでシンプルな装飾が施された、一つのオシャレな空間が出来上がっているのです。

 

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これは、宿に泊まる人にとってはワクワクしてしまいますね!

 

さっそく豊後大野市に移住されたきっかけをお伺いさせて頂きました。

 

 

2、移住する家を選んだ決め手と、豊かな暮らしとは。

 

京でサラリーマン生活に終止符を打った安雄さんは、もともと農業やものづくりが好きだったため、

田舎でゆっくりと農業をしながら暮らしを重ねていくための土地を探しはじめたとのこと。

 

「福岡から、出身の佐賀、大分・・・、色々な所を巡りました。最終的にはここにたどりついたんですよ。」(安雄さん)

 

もともと生まれが佐賀ということで九州北部を中心に、のんびり暮らせる場所を奥様の浩子さんと見て回っていたのだそう。

その中で選んだ大分県には、実は知り合いもおらずツテもなかったのだということですが・・・

なぜ豊後大野市を選んだのか、現在の家に住む決め手はなんだったのか。

 

「決め手は、『農業をしながら暮らせる環境があること』でした。今住んでいる所は、畑・田んぼが家のすぐ近くにあり、農業用の水路が確保できる『緒方井路』が家の前を通っていて、農業をしたい私達にとってはぴったりだったのです。」

 

また、豊後大野市の緒方町の魅力をこうも語る安雄さん。

「ここは、あまり有名でないからこそ残る『素朴さ』というものが、穴場だと思っています。昔ながらの開けた緒方平野は、昔から変わらない景色として美しく心癒やされるものがあります。」

また、「都会からは離れており、中山間部に位置するので一見不自由なイメージがあるかもしれませんが、スーパーや総合病院、そして駅も近く、インターネット環境など具体的なインフラが整備されているので、住んでみると不便さはさほど感じません。」とのこと。

 

古民家の宿まつもとは、緒方平野を見下ろせる眺めの良い高台に位置し、自然の中で心をゆったり落ち着かせることができます。

それでいながら、生活に必要なものは揃っており、不自由なく暮らせるようです。

 

「このように田舎を満喫する暮らしは、多くの都会の人も望むものではないでしょうか・・・」そう伺うと、

安雄さんはリタイアしたシニア層へ、現在の田舎暮らしをオススメしたいということでした。

「田舎暮らしとはいえ、やはり年金など、生活する上で一定の経済的な見通しがある程度必要になります。若い方の場合だと、暮らしを楽しむためには、収入のある仕事の見通しをしっかりとつけて、田舎に来てほしいと思います。」

 

さらに、「プラスの収入」の重要性も強調される安雄さん。

 

「現在、お米、野菜、はた織りの販売も行っています。全て田舎暮らしでやりたかった趣味的なことですが、それを実際に販売してわずかでも収入になると、喜ぶ方の顔も見ることができて嬉しいですし、生活する上での大きなモチベーションになっています。」

 

手作りのものを販売することで、それを見に来てくれる人・買ってくれる人がいて、その中でコミュニケーションが生まれる。一つの家庭で行うものづくりが、地域の経済的なサイクルを生み出し、それが地域活性化にも繋がっていくようです。

 

ものづくりの販売で喜ぶ人の顔を見ることができ、「プラスαの収入」を得て、さらなる活力が生まれる。それは田舎で心豊かに暮らすための大きな秘訣と言えるのかもしれません。

 

そこで、実際されているものづくりを覗かせて頂きました。

 


 

3、ものづくりが心を豊かに

 

東京にいた頃にも、家庭菜園が趣味だったという浩子さん。現在でも畑で無農薬野菜を愛情込めて作ってらっしゃいます。

 

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無農薬で育てる野菜は、珍しいものばかり。
緑色のなすび、プチトマト程の大きさとプチキュウリ、通常よりもジャンボサイズのおくら等・・・。

 

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スーパーでは見ることが出来ない野菜たちにはこころ踊ると共に、「自分で育てた」という実感が強く、愛情も湧くのも納得です。

 

実際にお客さんは収穫体験なども出来るとのことでした。

旬の野菜を収穫して食べる。当たり前でも贅沢な時間ですね。

 

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浩子さんは同時に、豊後大野市へ移住をしてからはた織りをはじめられました。

色鮮やかに並ぶ浩子さんの作品は、その美しさにため息をついてしまうほどです。

 

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うっとりしていると、はた織り機と糸を見せて頂きました。

 

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これまた何とも美しい・・・。はた織り機を実際に使ったことのある日本人はどのくらいいるのでしょうか。

「ここでは、実際にはた織りの体験も出来ますよ」と、浩子さん。

農業体験も出来て機織りも体験できる・・・都会に暮らす方や外国の方には大変喜ばれるようです。

 

一方、安雄さんは、お米を作ってらっしゃいます。

 

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天日干ししたヒノヒカリと、香り米というもち米で、家族で一年間食べる分には申し分ない量が収穫できるのだそうです。

 

また、米作りの際に天日干しにて使う竹はもちろんのこと、安雄さんは何でも自身で手作りされます。

車の車庫を拝見した際は驚きました!

 

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骨組みやそれぞれの辺の長さ、対角線をしっかりと計って手作りされているとのこと。

さらに、材料は、お店で調達したものはトタンや釘などわずか3万円程度であり、それ以外は竹・木・石など自然にある身近なものを使っているそうです。

 

お金をかけずに、いかに自然の素材を使うか。それも、ものづくりのコツですね。

安雄さんも浩子さんも、「田舎で農業などのものづくりに励み、豊かな心で生活したい」という思いをしっかりと実現されており、素敵な暮らしを送ってらっしゃるんだなと感動しました。

 

 

4、移住して大変だったことと、心がけるべきこと。

 

そんな中、

 

「豊後大野市の緒方町にある現在の家に住みだしてから気づいた大変なことは何だったんでしょうか。」そう訪ねると、

「生活道路です。」と安雄さん。

 

日向街道から看板を左折して、宿「まつもと」へ向かう道は、なんと市道ではなく組合道と呼ばれている里道で、そこに住む人々によって管理しているとのこと。

 

「道が壊れれば自分たちで直さなければならないし、当然道周りの草刈りも怠ってはなりません。東京に住んでいた頃は、そのような心配をすることなんてありませんでしたが、今は、道が壊れたら・・・と、自分たちのライフラインを自分たちで維持管理する意識とその心配がかならず付きものなんです。それは同時に体力勝負でもありますし、町の持続可能性に対する不安は少なからずありますね。」

 

都会にいた頃は道路の心配は行政に任せておけばよかったことも、今は自分たちで整備をしなければならない。耕作放棄の地があれば、そこもみんなで手入れをする必要があるとのこと。

 

前述した田舎の良さとして「昔から変わらない景色」というものがありましたが、その景色も裏を返せば、インフラを維持しつづけるために、そこに住む人々が整備を欠かさず、自ら支え合っているということを、移住者は理解する必要があるようです。

 

それは道の話だけではありません。「昔から変わらないもの」として、古くからの慣習やならわし、人間関係など、東京にいた頃には考えもつかなかった「しがらみ」と向きあわねばならない現実があるとのこと。

「今は皆さんご高齢の方ばかりだし、もっと効率的なやり方を行った方が負担が減るのに・・・と思ってしまうこともありますが、やはり古くからのやり方は変わりにくい所があります。いくら合理的でなく、形骸化していることだとしても、なかなか変わりきれない部分があるようです。」と安雄さん。

 

「変わらない」ということは、その景観を守るための努力であったり、古くからの慣習を大切にする良き文化でもあるのでしょうが、一方では移住者にとって向き合わなければならない現実であり、大きな試練となることもあるようです。

 

 

5、農家民泊について

古民家を改装し、平成25年5月にスタートさせた農家民泊。

前述したように、古民家の宿「まつもと」では、農業やはた織りを体験することができ、さらに旬の野菜をふんだんに使用した食事も楽しむことができます。

 

宿泊するお部屋は広々とした和室で、合計2部屋、定員5人までゆったりと過ごすことができます。
 

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また、宿には、Wi-Fiも完備されています。豊後大野市のケーブルテレビを活用したWi-Fiであり、田舎でゆっくり過ごしながらネット環境にも困ることはありません。

お食事は松本さんご夫婦と一緒にリビングで。薪ストーブで暖まりながら皆さんで会話を楽しみましょう。

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木の温もりと素敵なご夫婦に会いに、ぜひ古民家の宿「まつもと」へ訪れてみてはいかがでしょうか。豊後大野市のお話を伺ったり観光しながら、きっと移住へのヒントに繋がることでしょう。

 

 

6、さいごに

 

東京から豊後大野へとIターンをし、訪れる人々へ田舎暮らしの素晴らしさ、実際の現実を伝えてくださる松本さんご夫婦。今回お話を聞くにあたり、田舎で生きていく為の努力と向上心、向き合う現実や、ものづくりに励み楽しむ心の豊かさを、お二人ともからお伺いすることが出来ました。

特に、「食べる」、「住む」、「(ものを)作る」ことを自分の力で行う「手作りの生活」は、体力勝負であったり、身近なものを活用する工夫が必要となる等、大変なこともありながら「生きている」を実感する暮らしとなっているようです。そして、それが「心の豊かさ」にも繋がるのでしょう。

 

田舎に移住したい・・・でもいきなり住むのは勇気がいる、という皆さんには、

ぜひ一度、農家民泊を体験していただき松本さんご夫婦とお話をする中で、新しい発見と参考になることがあるかもしれません。

 

(2018/11/16記 地域おこし協力隊 日淺紗矢香)

 

 

詳しい宿のお問い合わせは以下の「古民家の宿まつもと」さんオリジナルHPから。

https://ogatamachi.jimdo.com/

お問い合わせ

まちづくり推進課 地域振興係
電話:0974-22-1001